†  教会で  †
*注意*パラレル設定です






「うーたん、オレ教会なんて初めてだよ」

「あんまり大声立てるなよ。響くからな」

「分かってるって……うわーでっかい絵だな」

「聖家族………聖母シロンと救世主ランシーンだよ。
聖母の青い衣はサファイアの色で、大空、真実、貞節を表すんだ」

「うーたん物知りだな……あれ?じゃ、このレジェンズは?」

「聖グリードー。聖母の夫で一緒に救世主を育てたんだ。
赤はルビーの色で、聖愛、熱情を表し、この赤と青の配色は
天の聖愛と真実を象徴するとされている……ってガリオン先生が言ってた」

「なーんだガリオン先生の受け売りか……あれ?…聖母って処女受胎じゃなかったっけ」

「上に告知の天使が描いてあるだろ。
聖母の婚約者だったグリードーは天使のお告げを受けて
婚前交渉の無かったシロンを妻に迎え入れたんだ」

「えー……それって…何か変じゃねえ?オレだったら納得いかねぇなぁ…
いくら天使のお告げだからって……なんか、さぁ」

「それを受け入れたから聖グリードーとして絵になってるんだろ」

「……グリードーって、きっとシロンが凄く好きだったんだな」

「実は図書館で調べたらふたりの間には、その後4人の男子と女子2人が生まれてるんだよ」

「…ぇ……っと?」

「そこん所、ガリオン先生伏せてたからな……愛情深くて良いんじゃないか?」

「…何か、ガリオン先生らしいな。…で、この赤ちゃんの説明してくれよ」

「救い主ランシーン……この世の業の化身ジャバウォックを宇宙に連れ出しこの星を救ったんだ
体毛の白は純潔、無原罪、首の赤い宝石は殉教を表している」

「殉教って……この子、死んじゃうの?」

「そうだよ」

「こんなにちっちゃくて可愛いのに?」

「……そうだよ」

「工エエェェ(´д`)ェェエエ工
全然納得できねよ!!!!!」

「バっ………!!静かにしろって!」

「もがもがもが!!!」


「………どうかされましたか?」

「シルフ神父様…何でもありません」
「もごふご…っ」

「……君はウォルフィ君でしたね。そちらの方はお友達ですか?」

「友達の……(手を離す)」
「マンティコアのリーオンでーす」

「(うわ、怖い顔)よろしく、リーオン」

「神父様、オレ、聞きたい事有るんだけど」
「おい、いきなり失礼だぞ」

「いいのですよ、ウォルフィ君。リーオン君、どんな質問ですか?」

「この子、死んじゃうの?」
「リーオン……」

「……リーオン君、こちらへいらっしゃい」

「はい」
「…ハァ…」

「こちらが縛刑のランシーン様です。下部に描かれた丸い物体が魔王ジャバウォック」

「………わー…どっちも怖い顔」
「お前が言うなよ」

「ランシーン様はジャバウォックと共に宇宙で爆発しますが3日後に復活なされ、地球に戻ってくるのです」

「えっ?!生き返るの?……良かったぁ」
「騒ぎ過ぎなんだよお前は」
「ごめん。うーたん」

「ミサには参加されますか?」

「はい…お袋にこいつを招いてやれって言われてるんで、その後で」
「え?そんな話聞いてないよ」

「ここを出たら言おうと思ってたんだよ。こんな日に寮で過ごすなんて可哀相だってお袋が」
「うーたん……」

「オレ、甘い物苦手だし。ケーキ完食しないとお袋に叱られるしな」
「わぉ!それ聞いたら何だか腹減って来ちゃったよ。早く行こうぜうーたん!」

「ちょ…教会で走るなって!神父様、それじゃまた」


「――あなた方にも地球の加護がありますように――」







・呟き・
冒頭の注意書き通りパラレルなので このお話ではレジェンズが普通に暮らしています
リーオンもウォルフィも学生ですし、 ウェアウルフ(狼男)なのにウォルフィにお袋さんがいるのもそのためです
(なんだかイメージにメリッサが)
ここだけの一発ネタなので流してやってくれると嬉しいです

ダンディーやサラちゃん、G・W・ニコルを見てるとレジェンズ・ウォーって必ずしもやらなくて済むような気がしてきます
アンナだってもっと自由に楽しく過ごしたかったでしょうし

レジェンズ・ウォーが始まるまでのレジェンズ達と人間が過ごす時間はお試し期間じゃないかとも思っています
地球が人の心を試すお試し期間………ユル・ヘップバーンも最初は好きで研究してたのに…
愛情が反転したときの憎しみはそれは壮絶な物がありますが
復活した愛はそれに勝ると思います



作成日: 2005/12/24